ヌートリア (Myocastor coypus
@ ヌートリア

@ ヌートリア(メス・Ma−0467)



A ヌートリア

A ヌートリア(メス・Ma−545)
資料名

 ヌートリア

学 名  Myocastor coypus
資料番号  @ Ma−0467

 A Ma−545
分 類  ほ乳綱

 ネズミ目(げっ歯目)

 ヤマアラシ亜科

 ヌートリア科

 ヌートリア属
産 地  @ 伊勢市宮川(宮川下流)

 A 四日市市霞埠頭(ふとう)
採集日  @ 昭和35(1960)年4月9日

 A 平成10(1998)年10月27日
解 説
 川の中をすいすいと泳ぐヌートリアを見たことがありますか?
 初めて見ると「こんな動物が日本にいたのか」と驚くほどの大きさです。
 ヌートリアは、南アメリカが原産の大型のげっ歯類で、頭胴長60センチ、体重10キロにもなります。大きなドブネブミのようなずんぐりとした体つきをしています。目や耳は小さくて、鮮やかなオレンジ色の大きな前歯が特徴的です。後ろ足の指の間には水かきがあって、小指にあたる指は離れていて毛づくろいなどに使います。食べ物は、マコモやホテイアオイ、ガマヨシ、ヒシの実などの植物のほか、ドブガイなども食べているようです。川の土手に穴を掘って巣穴としています。基本的に夜行性で、明け方や夕暮れ時に活発にエサを探します。昼間は草むらや巣穴で休んでいることが多いようです。
 「ヌートリア」という名前は、スペイン語で「カワウソ」という意味で、カワウソの毛皮の代用品として利用されたことから、世界中で飼育されるようになりました。日本には明治40(1907)年、上野動物園(東京都)に輸入されたのが最初で、第2次世界大戦のころには、軍用の毛皮をとるために日本各地で飼育されていました。戦後、毛皮ブームが起こった1950年代ころには、県内でも桑名市や鈴鹿市、津市、伊勢市で養殖されていたようですが、ブームが去るとともに捨てられるなどして野生化していきました。
 現在は、農作物への被害や在来生物の生態系への影響などが危惧されています。その一方で、川の土手に巣穴を掘ることから、コンクリートで護岸された河川では定着できないとされていることから、日本に住み着いた移入種でありながら、河川の中・下流域の自然環境を示す指標動物としての可能性があります。
 県内では、1960年代ころには、度会郡大宮町(現 度会郡大紀町)や伊勢市で複数の目撃例がありました。定着していたようですが、河川の護岸工事が進むにつれて住みかを奪われたことから目撃されることはほとんどなくなりました。
 桑名郡多度町(現 桑名市)の肱江川(ひじえがわ)流域と員弁川(いなべがわ)流域で定着と繁殖が確認されていましたが、最近になって三滝川(みたきがわ・四日市市)でも目撃されるようになりました。三滝川は、コンクリートで護岸されていますが、上流から流れてきた土砂が堆積して中州ができています。この中州に水辺の草が茂ったことで、ヌートリアが進出してきたと考えられます。
 日本本来の自然環境にしか住むことのできないヌートリアの存在は、移入種の問題だけでなく、本来の自然環境のあり方について考えさせてくれる生きものではないでしょうか。彼らが環境について重要なメッセージを私たちに語りかけてくれています。 (T)
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